ことしで30回目を数える

「小諸・藤村文学賞」の

入賞作品が決定し、

10日(月)に

藤村ゆかりの宿中棚荘で

記者発表が行われました。

 

「小諸・藤村文学賞」は、

小諸ゆかりの文豪、

島崎藤村の生誕120年、

没後50年の年から、

毎年行われているもので、

ことしで

30回目を数えます。

応募者の自己啓発や

応募作品を通じた

交流の機会を生むことが

ねらいとなっています。

 

エッセイが対象で

ことしも国内外から

2464作品が寄せられました。

 

選考委員を務めるのは

作家や文学研究家など4人です。

事務局で2回の予備選考を行い、

記者発表の前日、

9日に選考委員による

本選考を中棚荘で実施。

27点の入賞作品が決定しました。

 

ことしは、

一般、高校生、中学生、

それぞれの部門で、

最優秀賞1人、

優秀賞2人、

佳作5人が選ばれています。

 

選考委員長を務める

詩人の江尻潔さんは

ことしの作品について、

このよう講評を述べました。

 

「今回特に目立ったのは、

やはりパンデミックが終わって

ようやく人と人とが

対面で触れ合うことが出来る。

何気ない日常なんだけど、

それがとても尊いこと。

それが、とても素晴らしい。

自分たち、書き手の方々が

心にさざ波が立っているんですね。

それが、書き手の方々にとって、

かけがえのない尊い体験になっている。

そういう体験を

どうやって留めようかなとなった時、

言葉にする。

文章に書く、

そういう事が

本当に大事だと

自覚されている作品が

多く見受けられました。」

 

一般の部、

最優秀賞に選ばれたのは、

  京都府在住の松田正弘さんの作品

耀く体操服」です。

 

この作品は内臓疾患を抱えた

松田さんの娘「なおちゃん」と

特別支援学級に通う

友人の男の子

「たかくん」との出会いを

描いたものです。

運動会の日、

「なおちゃん」の助けによって

見事走り切った

「たかくん」の姿。

それを見た作者は、

「誰かに必要とされることが

娘を奮い立たせる

原動力になった」

と感じます。

それぞれが

互いに心の支えになり、

明るく前を向いて

生きている様子を描いた作品と

なりました。

 

選考委員の作家

太田治子さんは

「弱い者同士であっても

助け合い、高めあい、

心のともしびを

灯し続けることができる。

互いに助け合う力を

持つことの意味を教えられた

すばらしい作品だった。」

などと述べ、

作品を高く評価しました。

 

その他、

高校生の部、

中学生の部の入賞作品も発表。

高校生の部では、

最優秀賞に

富山県立高岡高等学校2年の

中川恋響さんの作品、

「「原点」を見つけたい」が。

中学生の部では、

学校法人四天王寺学園

四天王寺中学校1年の

丹羽 梨唯さんの作品、

「みょうがの握り寿司」が

最優秀賞に選ばれました。

 

選考委員長の江尻潔さんは、

今回の高校生の部と

中学生の部の応募作品に対して、

「彼らは、

生まれた時から

デジタル社会に生きている。

肉声よりも

機械を介してのやり取りが多い中、

このままでいいのか?

という、

危機感が表れている作品が

多くあった。」と述べました。

 

また、ことし3回目となる

小諸市民や小諸に

通学する学生に贈られる

市長賞・教育長賞では、

一般の部、高校生の部、中学生の部から、

あわせて3人が入賞しました。

 

小諸市長賞には

井出美子さんの作品、

「人生百年「後期高齢者」」

が選ばれています。

 

教育長賞の高校生部門では、

小諸商業高等学校2年の

山浦幸耀さんの作品、

「茂来山に思う」が。

中学生部門では、

芦原中学校2年の

長谷川開陽さんの作品、

「自転車と父から学んだこと」

が選ばれました。

また、奨励賞も新設。

最終選考に残った作品の中から、

市長賞、教育長賞に準ずる

特に優れた2作品が選ばれました。

 

今回、

小諸からは

365件の応募があり、

前年度と比べ197件増加と、

前年度を

大きく上回る応募数となりました。

 

30回の節目となる

「小諸・藤村文学賞.」の表彰式は、

藤村忌にあわせ、8月21日に開催予定。

また、ことしも

市長賞・教育長賞に選ばれた作品と

最終選考に残った作品を集めた作品集

「高原の町のスケッチ2023」を制作し、

表彰式後に

市立小諸図書館に

展示するということです。